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安全に対する意識

  • 執筆者の写真: ホームページ 東工大ヨット部
    ホームページ 東工大ヨット部
  • 9月27日
  • 読了時間: 4分

こんにちは。

470級クルーの坂本颯真です。

日頃より、ヨット部への多大なるご支援、ご声援を賜り、誠にありがとうございます。


今回はヨット部における安全意識について書きたいと思います。

ヨットは海上で行うスポーツであり、練習やレース中には一般のボートやウィンドサーフィンとすれ違うこともあります。さらに風や波の状況は常に変化し、予測できない出来事が起こることも少なくありません。そうした中で「もし何かあったらどうするか」を常に意識しておくことが大切です。自艇に突発的なトラブルが発生した際、冷静に判断できなければ最悪の場合は事故につながります。そのため「安全」への意識を高め、チームで対処方法を考えることが欠かせません。


私たちが安全を担保するために習慣としているのが、毎日の練習後に行う「ヒヤリハット報告」です。

ヒヤリハットとは、海上でヒヤッとした出来事のことを指します。一歩間違えれば事故になりかねない軽微な事例から、他艇と衝突し損傷を与えてしまう深刻な事例まで、その日に起きた出来事をチームで共有します。一般に「1件の重大事故の背景には29件の軽微な事故と300件のヒヤリハットが潜んでいる」と言われています(ハインリッヒの法則)。

ちなみにハインリッヒの法則は、私の専攻である経営工学の分野でも有名で、アメリカのハインリッヒが工場で発生した5000件余りの労働災害を統計的に調査して導き出したものです。経営に際し、労働環境の改善や安全意識の向上が、組織のパフォーマンスを高める上で必要なものであるという意図の下でこの研究が行われました。

ヒヤリハット報告は弊部では1日平均0.5件ほどであり、計算上4年間で1件の重大事故が起きても不思議ではありません。


では、どうすれば重大事故を防げるのでしょうか。私はヒヤリハット報告を聞く際に「自分がその場にいたらどうするか」を常に想像し、イメージトレーニングをしています。そして適切な判断は何かを考え、メンバー同士で「〜するべきだった」と議論を重ねながら納得のいくまで擦り合わせています。個人的には、問題点を指摘するだけでなく、原因や解決策、事故の背景まで具体的に考えることが大切だと思っています。そこまで深く考察することで、実際にトラブルに直面したときも再現性の高い判断ができるようになるはずです。そして誤った判断をしたチームメイトに対しては責任を追及するようなことをするのではなく、気兼ねなく情報を共有し事故発生を未然に防ごうとする雰囲気の醸成が大切です。


このように、一つひとつのヒヤリハット報告を無駄にせず、重大事故につなげないためには、他人の経験を「自分事」として受け止め、軽視しないこと。そしてそれを部員一人ひとりが実践していくチームワークが必要だと思います。ミーティングでは常にそのような良い雰囲気があり、その習慣が海上での安全意識を支えていると感じます。


実際、私自身も経験を重ねる中で冷静に対応できる場面が増えてきました。たとえば、視野に入っていなかった他艇と衝突しそうになったとき、とっさにジブセールを緩めてスピードを落としたり、相手に大声で指示を仰いだりして衝突を防げた経験があります。こうした判断力は、ヒヤリハット報告の習慣と日々の練習の積み重ねによって少しずつ身についたものです。


また、リスクは海上だけに限りません。合宿所での生活でも危ないことを起こさない意識を自然と持つようになりました。たとえば、長期合宿中によく流行る得体もしれない風邪への対策としてマスクや消毒液を使用したり、食当では衛生面に配慮したり、道具の取り扱いに注意したりしています。さらに、寝床を早めに確保するために早めに布団を敷いたり、朝の忙しい時間に備えて前日の夜に身支度を済ませたりすることも習慣となりました。


このような意識は最初からあったわけではなく、海上での安全意識を通じて、生活を快適にする上でもリスクに敏感になるようになったと感じています。


これからも安全第一を忘れず、同時にヨットを思い切り楽しみながら活動を続けていきたいと思います。


ree

 
 
 

1件のコメント


Umene Kojiro
Umene Kojiro
3日前

素晴らしい考え。是非とも 科学大ヨット部の共通基盤にしてください。

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