引退ブログ⑩佐藤匠人
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お世話になっております。470クラスの4631クルーを務めておりました、佐藤匠人です。
私がこのヨット部で学んだこと、後輩に伝えたいことを書ければと思います。
一言で書くなら
・他の人、他のチームより優れている部分を作ること、勝つべきところで勝つ意識
です。
一言で書くと具体性がなくてイメージが難しいかもしれません。私の4年間の活動を振り帰りながら書いていこうと思います。
私がヨット部に入った理由は大学で部活をしっかりと取り組みたい、と思ったことと試乗会での部活の雰囲気だったと思います。1年生の当時は他にも様々なサークルに入っていたので初めからヨット部一本というわけではありませんでした。本格的に部活に集中しようと思ったのは秋ぐらいでしょうか。それまでは同期のやる気に引っ張ってもらっていました。470でいうとあつかんとささまなのやる気がすごかったことを覚えています。そこから冬を超えてレースにも出てだんだんとヨットが楽しいと感じ自然と部活一本になっていました。2年になるころにはヨットがうまくなりたい一心で練習していたと思います。
私が他の部員と違うことを挙げるなら2年の夏から4年の春まで休部していたことがあるでしょう。2年の夏合宿中に病気になり大学部活を休みました。ここは私の4年間で一番きつかった時期の一つだと思います。2年の間は同期に経験、技術の上で差が広がっていることを焦っていました。3年になるとそもそも部活に復帰できるのかということや部活のことを考えないようにしていた時期もありました。それでも本心で自分は部活に戻るんだ、という気持ちが途切れたことはありませんでした。それは様々な人に支えられたからこそ諦めずに部活に復帰することができたと思います。
ここで話は復帰後になります。復帰当時はヨットができることがうれしくて楽しくてその喜びをかみしめていました。しかし練習をすればするほど自分のブランクが浮き彫りになりました。そこで当時の私はとにかく一緒に乗っていたスキッパーに毎回のタックの動作、スピントリム、など聞けることはほとんど聞いていました。陸では動画を見てイメトレをしてVRIでコースを勉強する。とにかくうまくなる速度をあげないといけないと感じていたからです。引退後にりなに「さとたくが復帰してから一つ一つの動作のフィードバックを求められていたから自分もよりワークに集中するようになった」と言われたことを覚えています。毎動作何かの進歩を生み出そうとしていました。この時期はとりあえずワークを取り戻す、ワークをしっかり身に着けることを意識していました。
「他の人より優れている部分を作る」ということについてです。私の場合、ブランクがあり他の人に経験では勝てない、ワークも他のクルーの方がうまい、という状況でまずは練習量で負けては話にならないと思い、復帰したあとは土日の練習だけでなく平日練も積極的に参加しました。夏休みになったら他の大学を含めて練習量にあまり差が出ないと思い、夏休み前にどれだけ練習できるかが大切だと思っていました。だから1,2Qはどのクルーよりも練習しました。また、私が意識していた他の人に負けない部分はフィジカルでした。これは技術に関係ありません。どのポジションで出るか、インカレにでるかわからない期間も体重でのゲインでほかのクルーに負けないように心がけていました。それはもちろん筋トレも含めた長くヨットに乗ることができる体づくりに関してもです。
私たちはほとんど経験なしからスタート、お金も私立に比べたらあるわけではありません。そこについて負けてしまうことはしょうがないと思います。しかし、全日本に出たいと思うならレースで勝ちたいなら他の要素で勝たなくてはなりません。練習時間で負けていて勝てるはずがありません。練習時間を増やしただけでは考えて乗っている人に勝てません。理系で時間がないのであれば何か自分の楽しいことを制限して部活に行く必要があるかもしれません。私は要所で負けてはいけないポイントがあると思います。例えば、私が他の人に対して練習時間で負けていてレースメンバーになれるわけがありません。むしろそれは当たり前で練習の質すら他の部員を凌駕する必要があります。当たり前のことかもしれませんが、これが私が休部をして大きく感じたことです。それはチームであれ個人であれです。私個人で考えれば、他のクルーに比べて経験では負けている、ワークも他のクルーの方がうまい。じゃあどこで勝つか。それは例えばフィジカルがあるので強風のボートスピードは負けない、とか人よりもVRIをやって足りない経験を補ってコースで勝負するとか。私自身、フィジカルでのボートスピード以外最終的に他のクルーに比べて勝っているところはなかったかもしれません。しかし、私は勝つべきところでは絶対に勝つという意識で部活をしていました。それが増えれば増えるほど強い選手、強いチームになるでしょう。補足で自分の弱みを放置していいというわけではありません。ただ、勝つためには他の人、他のチームよりも優れている部分がないと勝てない、ということで、勝つべきポイントできっちりと勝ち、自分の弱みはできるだけ相手との差が広がらないように努力すべきです。
私がヨット部でどうすれば勝てるのかと考えたときに感じたことはこんな感じです。おそらくみなさん一度は考えたことがあることだと思います。ではそれをどれだけの人が実践できているのでしょうか。どれだけの人が意識しているのでしょうか。自分が努力で勝てる分野で余さずに勝ち切っているのでしょうか。ヨットに限らずみんなに言われていることを余さず実行する人って強いんですよね。強さに近道はないっていうか。日ごろの考え方とか取り組み方で3か月後半年後、すごい差になると思います。
ここからは同期、後輩、お世話になった人たちに対して少し書きたいと思います。
同期
僕が部活に復帰できたのは同期の存在が大きかったです。休んでいた時に連絡をくれた人、復帰にあたっての不安を聞いてくれた人、何より復帰を温かく迎えてくれたこと、多くのサポートがあってみんなと最後のインカレ走ることができました。ありがとう。ヨットで切磋琢磨した日々、合宿所で大声で笑った日々、みんなと出たインカレの景色、どれも僕にとって忘れることのない大切な日々になりました。僕はこのチームの一員になれて本当に幸せです。これからもよろしくお願いします。
3年生
4年が抜けて人数が少なくなって大変なことが多いと思います。また、来年は全日本の枠が8枠なので今年以上に厳しい練習を積まなくてはいけません。470チームに関しては今までのやり方と同じことをしていても全日本に行くのは難しいと思います。今まで見てきたチームに足りないことを変えていってほしいです。何かあればOBOGは全力でサポートします。最後の1年妥協のないよう全力で取り組んでください。応援しています。
2年生
2年生は今年の春にはじめて会ってどんな人たちだろうと思って一緒に過ごしましたが日を重ねるにつれて頼もしさが増してきました。470は新4年生が少ないので来年のレースメンバー争いに加わることと思います。同期はもちろん先輩を追い越す気持ちで頑張ってほしいです。2年生の成長が全日本への一つの鍵だと思います。
1年生
1年生はまだヨットを始めたばかりでよくわからないことも多いと思います。そんな中で私が言えることはヨットを続けていればいつかヨットをやっていてよかったと思える日が来るということです。私は部活がきついときは先輩に言われた「ヨットは3年生から面白くなる」という言葉を思い出して励んでいました。何かわからないことがあったら何でも聞いてください。
4631のメンバー
インカレ直前までどういうペアで乗るのかとか誰が出るのかとか色々悩むことはあったけど僕は4人でインカレに出れてよかったと思っています。山下はインカレ一緒に乗ってくれてありがとう。色々至らないところがあったけど山下と一緒に乗れたからインカレ走りきることができました。山下とゆいは僕が多分一番多く乗っていたと思うけど、僕が疑問に思ったことをたくさん質問しても毎回しっかりと答えてくれてうれしかったしその分うまくなれました。笹澤も同じ船に乗るクルーとしてたくさん相談に乗ってくれてありがとう。色々迷惑をかけた部分はありましたがみんなのおかげで部活をやり切れたと思います。
夏樹さん
私たちのチームを指導してくださりありがとうございました。夏樹さんにはヨット技術のみならずチームのこと、選手のあり方についてなど様々なことを教えていただきました。コーチングを通して一人のヨット選手としても一人の人間としても成長できたと思います。夏樹さんの厳しくも愛のあるコーチングは私たちのチームを強くしてくれました。これからも科学大ヨット部をよろしくお願いします。
先輩方
引退後も私たちのレースや練習に来てくださりありがとうございました。470の先輩方には多くのことを質問したと思います。そのたびに丁寧に教えてくださりありがとうございました。石橋さんの代は私たちの代に近かったこともあり、目標、そして超えるべき壁として練習に励んでいました。先輩方の存在、サポートがあってここまでやってこれたと思います。ありがとうございました。
保護者の皆さま
多くのご支援、ご声援ありがとうございました。今年はファミリーデイを開催したことで例年よりも保護者の皆さまにヨット部のことを伝えられたかなと思います。レースの日は多くの方がバースまで応援に来てくださり部員一同励みになっていました。ありがとうございました。
潮会の皆様
多くのご支援、ご声援ありがとうございました。潮会の皆様には部活の多くを支えてもらいました。潮会の皆様のサポートがあるから私たちは部活に集中することができていたと思います。これからもよろしくお願いします。
最後に
多くの人の支えによってインカレに出ることができました。私は強風クルーとして出場し、風が吹いたらチームに勢いをもたらす走りをしたいと思っていました。結果から見ればそれはできませんでした。もっと走れたかもしれない、やれることはあったのかとインカレ直後は考えていました。悔しい気持ちが大きかったです。それでも私はやれることは全力でやり切れたと思います。
最後に少し本音を言うなら4年間部活をやりたかった。ヨットのもっと奥深いことを知ってヨットレースでもっと勝ちたかった。色々あります。
高校まで部活に対して全力に取り組んでこなかったので大学では頑張ろうと思ってヨット部に入りました。同期には絶対に勝つ、2年生の頃でいえば当時1個上に強風クルーの枠が空いていたのでレースメンバーの枠を勝ち取ると考えていました。僕の当時の目標は東工大で一番勝てるクルーになるということでした。高校まではスポーツをしていてもあまり闘争心がなかったのですが、ヨット部では勝ちたいという気持ちをもって取り組んでいました。
復帰してからも負けたくない、勝ちたいという思いは変わりませんでした。あんまり表に出していなかったと思いますがレースの結果に対して大きく落ち込んだり悔しい思いをしました。結構チーム内のペアを意識していたと思います。どうすれば勝てるのか、チームメイトには負けたくないという気持ちでした。うまくできたこと、悔しかったこと、楽しかったこと、苦しかったこと、などそれら含めて僕のヨット部の4年間です。当時の目標や全日本にでるということは達成できませんでした。そこに悔しさはありますが大きな後悔はありません。復帰してから引退まで自分にできることを全力で取り組めたと思います。
スポーツ、特にインカレは結果が求められる世界です。結果よりも過程だ、という人もいますが私は結果にこだわることが大切だと思います。よく、惜しい試合をした、という人がいます。しかし私は惜しい試合とギリギリで勝つ試合には雲泥の差があると思います。試合をするからには後輩には勝ち切ってほしいと思います。
一方で過程で得られたことは僕のかけがえなのない財産です。僕はヨット部に入ってよかったと心から思っています。4年間ありがとうございました。
東京科学大学体育会ヨット部 佐藤匠人






























